25年前、通訳はひとを慰め、励ませると教えてくれた人

こんにちは。
エキスパート通訳トレーナーの冠木です。

今日は私の通訳の原点のひとつでもある
懐かしい方をご紹介したく思います。

その方は大畑豊(おおはたゆたか)さんです。
はじめて会ったのはもう
25年前のこと。

そのころの大畑さんは若い修行僧のような
静謐な佇まいでした。

大畑さんはプロ通訳として
生計を立てていた
わけではありません。

アレン・ネルソンさんという
元海兵隊員のベトナム帰還兵の方だけの
通訳として、日本中を一緒に
旅して戦場の現実を訴えて
いたのです。

大畑さんの通訳は自然で正確、
優しく、静かでぬくもりがありまでした。
大畑さんの通訳をアレンさんが
心丈夫に思っていたのは
ちょっとしたしぐさにも
明らかでした。

アレンさんはニューヨークの
ブルックリンで貧しい母子家庭に育ち、
母に楽をさせたいと10代のうちに
海兵隊に志願します。
(お母さんは泣き崩れたそうです。)

nelson001.jpg
アレン・ネルソンさんhttps://www.indybay.org/newsitems/2009/02/02/18567572.phpより

厳しい訓練、沖縄駐留を経て
あれよあれよという間にベトナムに
送り込まれます。

ベトナムのある村を皆殺しに
するよう命令を受け、アレンさんが
人影を籔の中の洞窟にまで追い込むと、
なんとその人影は産気づいた少女。

赤ちゃんが産まれた瞬間、
アレンさんは思わず両手を
差し出してその赤ちゃんを
受け止めたそう。

少女はアレンさんから
赤ちゃんを奪い返すと、
森の中へ走り去っていきました。

この瞬間、アレンさんの何かが
よみがえりました。

とはいえ帰還後は長くPTSDに
苦しみました。だからこそ
戦場の現実と平和の尊さを伝えて
生きようと決心します。

大畑さんの通訳にはアレンさんへの
敬意と共感が満ちていました。
日本語は平明かつ丁寧で、
語り口はとても優しいものでした。

プロにありがちな平板な
通訳口調とは無縁です。

わざとらしく感情込めることもなく、
あくまで自然。そして全くメモを
取っていませんでした。

当時まだ英語教員だった私は驚いて、
どうしたらそんな風に通訳できるのですか、
と尋ねました。

すると大畑さんは
こればかり何回も聞いていますから、
と笑って謙遜されました。

でも毎回新しい気持ちで
聞いていらしたのは確かです。

だからメモがいらなかったのです。

心でありありと聴いて、
心でありありと通訳していたのです。

大畑さんの通訳を聞いていると、
行ったことのない
ベトナムの風景が見えてくる
ようでした。

その後私は教壇を追われ、
人生の谷間で
自分を消して聴き入る通訳養成に
心救われました。

けれど、大畑さんのような通訳を
通訳学校で聴くことは
ありませんでした。

どうも私は、大畑さんにあって
ドライな通訳にないものは何だろう、
それを名人芸ではなく、
それぞれが習得できるように
するにはどうしたらよいのだろう、
と模索してきたように思います。

それがいつか皆さまの喜びに
つながり、少しでも恩送りが
できたら、本当にありがたいことです。

明日からも、
佳い週をお過ごしください。
Enjoy the rest of the week.

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