福島地方紙の大学合格記事に思うこと
持続可能な未来のための通訳者、冠木友紀子です。
福島の地方紙の一面を見て驚いたことがあります。数年前のことですが。
ある東京の大学に合格者が出たというのがトップ記事。嬉しそうなご本人のインタビューも詳しく載っていました。
実におめでたい。でも、この調子で掲載してたら3月いっぱいじゃ追いつかないだろうなあ…
思い出していたのは福島県の高校の風景です。震災以降、私は「県境なき教師団」よろしく出前授業で通訳トレーニングやストーリーテリングを活かしたワークショップを提供していました。
伺うたびに(2時間授業して4時間呑んでいたのですが)感心するばかりでした。福島の県立高校の授業のレベルの高さ、先生方の仲間づきあいの濃さ、私たちへの行き届いたおもてなし…どう見ても支援していただいているのは県外からのこのこ出かけていった私たちでした。
あの感じなら、この大学には毎年30人くらい合格していて不思議はない…あの大学も、この大学も…ん?新聞が足りない?!
ふと、気になったのは記事の中の「十数年ぶり」の部分。
え?どうして?
ここから先は憶測の域を出ません。
どうもたくさんの生徒が受験して不合格になったとは思えないのです。そもそも受験していないのでは。
…もしかして、実力はあるのに受験していないのでは。
実際よりその大学は難しいと思い込んでいるのでは。
受かるはずがないと思い込んでいるのでは。
地元を離れてはいけないと思い込んでいるのでは。
いったん地元を離れたら戻れないと思い込んでいるのでは。
いや、先生方がそんな思い込みは解いてくれるはず…
地元の大学も首都圏の大学もくまなく調べて自由に決めたことならよいのです。地元にも専門分野に優れた大学はあります。地元の大学に通いながら家業を継ぐ準備をするのもめったにない幸せな道です。それならよいのです。
ただ、もしかしたら東大の女子率が2割を超えないのと似ている構造があるのかもしれないと妄想しています。女子が受けて合格しないのではなく、そもそも受験するまでのハードルが多いとか。同じようなことが男女のジェンダーではなく、首都圏、地方のイメージの差にあるかもしれません…なんていうのが私の勘違いだといいのですが。
もし勘違いでなかったとしたら…次にやるべきことは酔っぱらい押しかけ授業ではないのかもしれません。