驚きの明治洋楽「きよしこの夜」に【蚊】が登場!

きーよしー、こーのよーる。もうあのメロディーが聞こえてきましたね。

まったく季節外れですみません。実は来週、あるイベントでこの歌を母校フェリス中高のOG合唱団有志が歌うのです。(私は発声と呼吸の修行が通訳にも参考になると思い、この合唱団に参加しています)

そのイベントは横浜山手芸術祭の一環としてイギリス館で開かれる「明治・山手の丘に流れるメロディー」。「きよしこの夜」を含め、明治の横浜に入ってきた讃美歌や、外国人居留地周辺で生まれた新しい労働歌を振り返ります。

「きよしこの夜」として知られるあの讃美歌はもともとドイツ語。ヨーゼフ・モールの詩にフランツ・X・グルーバーが曲をつけたもので初演は1818年、オーストリア、オーベンドルフの聖ニコラウス教会のミサと言われています。

もとの歌詞1番はこんな感じです。

Stille Nacht, heilige Nacht,
Alles schläft; einsam wacht
Nur das traute hochheilige Paar.
 (Nur das traute heilige Paar.)
Holder Knabe im lockigen Haar,
Schlaf' in himmlischer Ruh'!
 (Schlafe in himmlischer Ruh'!)
Schlaf' in himmlischer Ruh'!

いま、皆さんが讃美歌109番、第二編244番としておなじみの歌詞は、由木康先生の訳です。

きよしこのよる 星はひかり
すくいのみ子は まぶねの中に 眠りたもう、
いとやすく

それが!なんとクリスマスとはちっとも関係なく、日本の静かな宵の情景として歌われていたというのです。

作詞したのは書家で歌人の阪正臣(ばんまさおみ)氏。いったいどういう経緯で新たな日本語詩を作ることになったのかは21日のお楽しみ。イギリス館へぜひお出かけください。

小雨止みて 庭は暗し
月はなど遅きぞ 端居(はしい)して待つ間に 
不如帰(ほととぎす)ただ
高くひと声

霞晴れて 星は照れり
小簾の隙漏りきて(おすのひまもりきて) 橘ぞ薫れる 
水鶏(くいな)さえいま
遠くひと声

小田の早苗 緑涼し
蛍追う子は去り 風もなく吹くるよ 
耳元に蚊の
細くひと声 

なお当日は3番を割愛するそうです。気の毒な蚊の出番と思って、ぜひ「きよしこの夜」のメロディーに合わせて口ずさんでみてください。

持続可能な医療・農業・教育のための通訳者 冠木友紀子プロフィール

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