ヨークシャーの高校生の通訳を頼まれたら…

こんにちは。
エキスパート通訳トレーナーの冠木です。

先週の勉強会では羽生結弦選手の
外国人記者クラブでの
インタビュー通訳について
おおっと思う質問を受けました。

次回のメルマガで取り上げるため、
ただいま絶賛リピート研究中です。
どうぞお楽しみに。

さて、今日は対面になんの
不安もなかった
コロナ以前の
出来事です。

東北のある町で、英国ヨークシャーの
高校生と地元の高校生が4日間
交流する合宿が開かれることに
なりました。

こういうイベントは
ビジネスになりませんが、
未来へのプレゼントです。
高校生たちに実際に私の通訳を
聞いてもらう大チャンスです。

声をかけてくれた県立高校の
先生方は申し訳なさそうでした。
でも私は「待ってました!
これこそ
ホンモノの出前授業」と
二つ返事で駆けつけました。

通訳仲間として紹介されたのは、
いかにも活発な2人の若者。

通訳養成の経験はないけれど、
手探りでボランティアで
アマチュア通訳を
している友人どうし
だといいます。

「専門用語は適当だけど、
高校生だからいいよね。」
「いいんじゃない。」

2人のやりとりに一抹の不安を抱きつつ、
最終日の夜、お楽しみ会を迎えました。

この会の通訳は通訳1号氏です。

いよいよイギリスの高校生達が
コンテストで優勝したダンスを
披露する番です。

まず、物語のあらすじ紹介が
始まりました。

出だしからヨークシャー薫る言葉の
リズムにビックリ。

日本語で言えば七五調のような
心地よさです。

ところが…まったく訳が始まらない。

通訳1号氏はピンチの表情で、
こちらを見ています。

そして…口パクで
「何言ってるかぜんぜんわからない。」

友人の通訳2号氏が駆けつけました。

なんとか訳が始まりました。
よし、がんばれ、と思っていると…

2号氏もこちらを見て「だめです…」と。

え、なんだって?!

もちろん駆けつけました。

あらすじを語る高校生の言葉の
メロディーは、物語が展開する
鉛色の北海の
波そのもののようでした。

私は日本語でそのメロディーを
こだまして…ヨークシャーの高校生と、
一緒に寄せては返す波遊びを
しているようでした。

その物語はまるで東北のために
書き下ろしたようなお話だったのです。

神の怒り、犠牲という重い
テーマでしたが
躍動するダンスで
輝いて見えました。

さて、二人は「プロは違う」と
肩を落としました。

それはそうです。正直、甘い。

でも、そこで思考停止しては
もったいない。アマチュアとはいえ、
地元の高校生を喜んで手伝う
心暖かい人たちです。

2人はアメリカが大好きで何度も
渡米しているとのこと。

え?でも今回はヨークシャーですけど…

私は、話し手がどんな言葉を
聴いて育ち、どんな言葉を話すのか
関心を持つのも大切な準備と
考えています。

アメリカ、イギリス、インドの英語と
いったあまりに大雑把な「地域」
ではなく
「人」に焦点をあてるのです。

通訳者は「人」の想いを言葉で
「人」に伝えるのです。
大陸や島ではなく、
つねに「人」を想います。

ネット以前の時代は、人に焦点を
当てようとしても思うように
なりませんでした。

それが今では容易です。

ネットでヨークシャーの人たちの
動画をいくらでも見ることが
できます。

当の高校生たちと事前にオンラインで
会い、録画しておくこともできます。

シャドウイング、リピーティングも
動画なら何度でも繰り返せます。

そして憑依したと思えるまで
聴きこむのです。

やtがてあなたの日本語訳に
ヨークシャー英語のメロディーが
うっすら忍び込むでしょう。

タイミングが合うよう言葉を選べば、
まるで言葉のカノンのように
聞こえる
はずです。

聴衆の皆さんにも
聞き心地よいことでしょう。

もし、やはりアメリカ好きの
自分には無理と思ったら
断ることです。

それはほかの誰かの出番です。

アマチュアだからといって
無理をすることはありません。
いい加減な仕事をしてもいけません。

断るには勇気がいります。

その勇気があるのは
素晴らしいことです。

あなたは自分に縁のある大切な人たち
の語りを聴きこむ。

そうすれば、あなたの語りは、
あなたの大切な人たちの
語りを
綴り合せた
語りのキルトと
なることでしょう。

そんなあなたの語りを聴きこむ誰かもいて…

もしかしたら、語りの世界では
「自分」という枠は、網戸程度の
ものかもしれません。

さて、私の網戸の内側に最近
居座っている方々からひとり

ご紹介しますと…

アメリカで言いたい放題のイギリス出身
知性派コメディアン、John Oliver氏です。
こちら、通訳道場メンバーE子さんが
教えてくれたなんちゃってニュース番組です。
こちらチイタンの巻は最高!
通訳練習でずいぶん楽しみました。
ぜひご覧ください。

【Last Week Tonight with John Oliver】 

今日もお読みくださって感謝します。
佳き週をお過ごしください。

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