「先生、キリスト教なのに神社のお守りですか?」
「え、先生がバッグにお守りって意外です。キリスト教の学校だったのに…?」
これね。これ福島の稲荷神社のお守り。陰陽道では桃って厄除けの力があるんだって。でもね、別にご利益が欲しいわけじゃなくてね…福島のしるしが欲しくてね。

そうそう、キリスト教は12歳のときから。でも仏教やイスラム教よりキリスト教が良いなんて思ったわけでなく、向こうが声をかけてきたとしか言いようがなくて…
このごろね、宗教との縁は縁日の屋台みたいだと思う。
縁日をうろうろしてたらたこ焼き屋のおじさんに店番手伝ってくれと言われた。うっかり手伝いだしたら夢中になった。たこ焼きも奥が深い。こだわりだしたらきりがない。究めることなんてできない。
おとなりはカルメ焼き屋さん。正直言って小さい頃気になっていたのはカルメ焼きのほうなんだけど…。おじさんは真剣、とてもいたずらでちょっとやらせて、なんて言えない。だいたいたこ焼きがまだ半端なんだから。ちゃんと買おう。お客さんが切れたら、なんでカルメ焼き屋さんになったのか聞かせてもらおう。
ともかく私の役割はおいしいたこ焼きを求めてくる人に応えること。カルメ焼き屋、金魚釣り屋なんてつぶしちゃえ、縁日全部たこ焼き屋にしちまえ、なんて思わない。
「結局、すべての宗教は同じ頂を目指しているんじゃないですかね」と外から言う人は、縁日をそぞろ歩きするお客さん。それもそれでいいと思います。どうぞ盛大にお買い上げ願います。どこかの屋台のおじさんに呼ばれたら、手伝ってあげてくださいね。