カタカナ怪談「ストーブにストウブで煮れば…」
持続可能な未来のための通訳者、通訳藝術道場主宰の冠木友紀子です。
いやー、カタカナは悩ましい!先月のことです…
「黒豆ならストーブをストーブにのせておけば…」
料理好きな友人のひとことに周りの人たちは目を白黒。
ストーブにストーブをのせる?燃えてまうがな。
いえいえ、のせるのは「ストウブ」。
フランス伝統の鉄製無水鍋で、素材の水分を活かしておいしく仕上がると人気です。
でもStaubという綴りはフランス語というより、ドイツ語に見えて仕方ありません。
なるほど、フランスと言ってもアルザスなのですね。ここはフランスとドイツが小競り合いを繰り返したところ。ドイツの単語もあちこちに残っています。アルザスの白ワインは甘くて、細いビンに入っていて、ドイツのワインのようです。
で…Staubは創業者のFrancis Staubさんの名前に由来しますが…フランスのFrancoisでもドイツのFrankでもないところがまたアルザスらしいような…
(実は、20年前に初めて公に通訳したのが、アルザス問題研究者のフランスの方の講演でした。このことはまた別稿にて。)
そして、Staubシュタウプはなんとドイツ語で「塵」。
人の名前は不思議です。映画「いまを生きる」でもPittsやMeeksをキーティング先生が「変わった名前」と言っています。
Staubをフランス読み、カタカナ書きすると、auはカフェオレの「オ」なので「ストーブ」でいいと思うのですが…よくない!!先客ありです。困った先客です。
ストーブはstove、律儀に書けば「ストウヴ」。いかにも日本のみなさんになじみませんねえ。それに、いわゆるストーブはheaterと呼ぶことが多いんです。
変な先客に居座られて、本当のストーブさんがお困りのようで。
英語の土台徹底リノベ講座はこちら。 Progress in English旧版が味方です。