「スカーボロ・フェア」この二人、別れたくて別れたの?―深読みその①
肌寒い季節になるとなぜか思い出す、サイモン&ガーファンクルのスカーボロ・フェア。
ロジカル・シンキングとは別次元の謎めいた詩で知られています。これから少しずつご一緒にその謎を追ってみませんか。
さてこの曲、正式なタイトルは"Scarborough Fair / Canticle"「スカーボロ・フェア/聖歌」。
スカーボロはイギリス東北沿岸の港町。まあ地図で見るとちょうど請戸漁港あたりの感じです。丘の上から眺める海の色は北海らしい鉛色でした。フェアはその港町の市です。
スカーボロ・フェアは民謡として1600年代には歌われていたようです。なかには、歌い手はペスト自身、若い女性に次々と無理難題をふっかけて、できなければ連れ去ってしまう、という解釈もあります。

スカーボロは日本でいえば請戸あたりでしょうか
でも、サイモン&ガーファンクル版で不思議なのがCanticle=聖歌。確かにもとの民謡にはない歌がかぶせられています。これはPaul SimonがOn the Side of a Hillと題して書いた歌を改題したもの。もとの民謡と「聖歌」が重なったところにベトナム戦争への「反戦歌」が浮かび上がるのですね
まず、Scarborough Fair から少しずつ…
| Are you going to Scarborough Fair Parsley, sage, rosemary and thyme Remember me to one who lives there She once was a true love of mine Tell her to make me a cambric shirt |
スカーボロの市に行くところですか パセリ、セージ、ローズマリーにタイム よろしく伝えてください、そこに住むある人に 彼女はかつて僕の愛しいひとでした。 彼女に伝えて、僕にキャンブリックのシャツを作ってと |
パセリ、セージ、ローズマリーにタイムは清めのハーブ。冷蔵庫が登場する前は肉の防腐剤として重宝されました。
それにしても、1連ではShe once WAS a true love of mineとなっています。もとカノに頼み事とはこれはいかに。一体この二人は別れたくて別れたんでしょうか。

冷蔵庫がなかった頃はハーブが防腐剤
2連の頼みごとがまた謎です。キャンブリックは生地の名前ですが、レース屋さんで売っているようなしっかりした手触りの真っ白な高級ハンカチ地を思い浮かべてください。これをシャツにするのに縫い目もいらないって…とと姉ちゃんの直線裁ちでも無理です。
あなたは今何をお召しです?縫い目は?…ああ、ありますね。袖、襟と身頃はぬいつけてありますもんね。ボタンもついているし。
縫い目のないシャツはお持ちですか?…サリー?あれはシャツじゃないですねえ。
服に縫い目がなかったらどうでしょう。日々の家事、電車で通勤、犬の散歩、自転車で買い物…普段通りにできますか?
シーツやカーテンでもかぶってみてください。テルマエ・ロマエのトーガみたい?それもシャツじゃありません!シャツshirtはスカートskirtと語源が一緒。「短く切った服」素材節約、てきぱき動きやすいでしょう。
縫い目のないシャツを着ても困らないのはどんな状態のひと?
なぜShe once wasがShe will beに?元カノがカノジョに戻るのはなぜ?
この二人は別れたくて別れたんでしょうか。
あっ!と思った方は3番以降の詩もその路線で読めるかどうかお試しください。
| Tell her to find me an acre of land Parsley sage rosemary and thyme Between the salt water and the sea strands Then she’ll be a true love of mineTell her to reap it with a sickle of leather Parsley sage rosemary and thyme And gather it all in a bunch of heather Then she’ll be a true love of mine |
彼女に伝えて、1エーカーの土地を見つけておいてと パセリ、セージ、ローズマリーにタイム 海水と浜辺のはざまに そうしてくれたら、彼女は僕の愛しいひとになる彼女に伝えて、刈り取りの鎌はなめし皮でと パセリ、セージ、ローズマリーにタイム そしてすべてをヘザーの花束に入れて そうしてくれたら、彼女は僕の愛しいひとになる |

