「スカーボロ・フェア」無理難題にも意味がある?―深読みその②

Simon and Garfunkelの“Scarborough Fair/Canticle” 深読みしすぎ第二弾。

このバラッド、もともとは男女がデュエットで互いに無理難題を出し合うというもの。「~できたら彼女にしてやるよ!」という男性の歌に応えて女性が「そんなこというなら、あんたこそコレやってみな!そしたら彼氏にしてやっから!」とかけあいます。メロディーはさみしげですが、やりとりはちょっとユーモラス。好きも嫌いも好きのうち、てなもんで。

Simon and Garfunkelはの場合は、元カノに無理難題ふっかけて、クリアーしたらまた彼女にする、と言っています。

ここでどうも気になるのが無理難題の中身。どうせ無理ならなんでもよい、というわけでもない気がするのです。Canticle聖歌と重ねて聞くと、あるメッセージが浮かび上がるように思えるんです。

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さて、3連。

Tell her to find me an acre of land
Parsley sage rosemary and thyme
Between the salt water and the sea strands 
Then she’ll be a true love of mine
Tell her to reap it with a sickle of leather
Parsley sage rosemary and thyme
And gather it all in a bunch of heather
Then she’ll be a true love of mine
彼女に伝えて、1エーカーの土地を見つけておいてと
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
海水と浜辺のはざまに
そうしてくれたら、彼女は僕の愛しいひとになる
彼女に伝えて、刈り取りの鎌はなめし皮でと
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
そしてすべてをヘザーの花束に入れて
そうしてくれたら、彼女は僕の愛しいひとになる

1エーカーは都会の4LDKマンション50軒ぶん相当。ずいぶん広いです。こんな広い土地を塩水salt waterと浜辺strandsの間に、って…やせた海辺の土地で何をするんでしょう?

4連も不思議です。そもそもitは何?何を刈るのでしょう?鎌は生命ある植物を切り倒す道具。そういえば死神も大釜を振り回しています。でも、なめし皮の鎌では切れそうにありません。

そして穫り入れた何かをヘザーの束にまとめます。イギリスの荒野を覆うヘザーの花は赤紫。炭化すればピートになります。

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縫い目も刺繍もないシャツ…海辺の土地…ヘザーの花束

布…大地…花…。 ん?

もし歌い手の向かう先が〇〇で、本心から別れたくて別れたのではないのなら…。

歌い手は彼女に何かの準備を頼んでいる、とも見えませんか。

これが唯一の正しい解釈、なんていうつもりは全くありません。あくまで詩から離れず連想した一例にすぎません。「詩から離れない」なら、いろいろな連想があってよいと思います。「わけわからない」でスルーするより面白いですよ。

さて、明日はこの歌にかぶせられているOn the Side of the Hillを覗いてみます。

↓↓ 言葉の海の深みをご一緒に探りたい方、お待ちしています。

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