台風で大変だっていうのに「魂のこよみ」23週

台風15号大変でしたね。関東、とくに千葉の皆さん、お疲れがたまっていることでしょう。くれぐれもご自愛ください。

私は聴覚と発声のパイオニア、トマティス・メソッド®の通訳で神戸にいたため、猛暑の晴天下で気をもんでおりました。

どちらにしても、日本の状況はこの週のシュタイナーの詩とぴったり、というわけにはいかないようです。今秋の詩は秋の静けさの中に冬のおとずれを予感しています。ヨーロッパと日本の違いなのか、気象変動のせいなのか…。気をつけてみると確かにかすかに秋らしさ、かなたに冬を感じられなくもないのですが。

今回も困りました。

秋の明るみのうちに冬の気配…?
Es dämpfet herbstlich sich
Der Sinne Reizesstreben;
In Lichtesoffenbarung mischen
Der Nebel dumpfe Schleier sich.
Ich selber schau in Raumesweiten
Des Herbstes Winterschlaf
Der Sommer hat an mich
Sich selber hingegeben.

ここです。5、6行目。
Ich selber schau in Raumesweiten
Des Herbstes Winterschlaf

英訳は「秋の冬眠」としているのですが、それって秋眠?
秋Herbstesはその前のRaumsweitenにかかるとは考えられないでしょうか。英語で言えばin wide space of the autumnてな感じです。

そうすると、目の前にある今の季節のなかに、次の季節がひっそり忍び込んでくる、というモチーフの繰り返しとしても自然では?と思うのです。

秋めいて鎮まる
刺激を求めていた感覚。
あらわな光のうちに混じる
霧の湿った帳(とばり)
私も目を留める、はるかに広がる
秋の内なる冬の眠りに。
夏はもう、私に
みずからを委ねた。

こんな構造を感じます。
1-2行 夏の終わり 
3-4行 明るさの中にくぐもり
5-6行 秋のうちに冬眠
7-8行 夏の終わり 変奏

英語は語順が決まっている、なんていうのは昨日今日の散文だけの話。韻文ではイメージと音を活かすためにとんでもない語順のオンパレード。それでも勘違いしないのは文法のおかげ。まあ、教科書みたいな散文ばかりでは文法も本領発揮せず、面倒なばかり。その妙味も楽しめないとは思いますが。

それにしても、私はドイツ語では新米。ドキドキです。

持続可能な社会のための通訳者 冠木友紀子のプロフィール

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