NHKで一番通訳泣かせの番組は?
通訳といえば昔はニュースの音声多重放送。たしかにNHKの番組は日英通訳の練習にもってこい。
ここでクイズです。一番通訳者泣かせの番組はどれでしょう?
政治…?
ブー
経済…?
ブー
討論番組?
ブー
スポーツ?
ブー
大河?
ブー
ためしてガッテン
んー、ちょっと近づきました。
答え:鶴瓶の家族に乾杯!
理由は簡単。あまりにも不可測、想定外だからです。
それほど通訳の仕事は準備が大事。「家族に乾杯!」に比べたらほかの番組なんて200%下調べできます。
ところが「鶴瓶の家族に乾杯」で準備できることはわずか。旅する地方の特色、旅人のプロフィールぐらい。あとはどこでどんな人が現れ、故郷の言葉で何を話し、何が起こるかさっぱりわかりません。
例えば、人なつこいおばあちゃんが鶴瓶さんを座敷に通して、郷土名物をふるまいながらおじいちゃんの病気のことを話し出したら…
「ほれ、このいかにんじん食ってみろ。いや~おらほのおんつあ、病院で検査したら血がひとの3ぶんの1しかねえって言わっち。」
「そらおかあさん、心配でっしゃろなあ。」(ここで鶴瓶さんお茶をこぼす)
「あらららら、かんかちしねがったかい?」
いかにんじんって何?squid and carrotのほかにどうしよう!!血が3分の1!そんなはずはありません。おそらく赤血球の数値のこと。そうは思ったうえでさらりとおばあちゃんの言葉どおり訳さないと鶴瓶さんとの話がずれてきます。
で!かんかちって何?
そしてニュース通訳の口調ではあの番組が台無し!
というわけで、「鶴瓶の家族に乾杯!」は医学会よりよほどハードルが高いんですよ。(えー、例題は福島の皆さんには朝飯前でした。)

でもさいわい、医学会と違って再放送があります。本放送でうまく訳せなかった表現を仕込みなおし、再放送でリベンジもできますね。そうか、最近はハードディスクに録画できるのでした。
通訳道場のメイン教材に「鶴瓶の家族に乾杯!」を据えるわけにはいきませんが…臨時イベントならいいかしら。
思わぬところに教材は転がっています。あとは料理の腕次第。
通訳道場★横浜CATS オリジナル教材の仕込みも順調です!