通訳者が展示会に出かける理由

お台場のビッグサイトで開かれているバイオマス展に行ってきました。商談アテンド通訳の仕事?いえいえ、違います。純粋にお客さんとして行ってきました。これも大事な通訳準備なんです。しかも今回はヨーロッパ視察旅行の旅の仲間も日本各地から再集結。現場をもつ専門家と展示会に行けるなんてとてもありがたいこと。

私が通訳者として展示会を重宝する理由は2つです。

バイオマス関連の資料をこんなに沢山入手!

まず、通訳を担当する専門分野、業界を一望できること。展示会には日本を中心に世界各地から第一線の企業が集まります。一社ずつ会社訪問したら旅行だけで大変なことになります。それが何百社と一堂に会して、しかも営業担当の方が控えていて、資料も無料でもらえるんです。

今回は専門家の方の見方を伺うこともできたので、とても勉強になりました。

もうひとつの理由は、通訳者の働く様子を見て、通訳道場で提供するサポートの参考にすること。

展示会での通訳は社員があたることが多いようです。なかには「スミスさんは~とおしゃっています。」と間接話法で話している方も。これはとても疲れます。でも社員として発言を求められる場合もあるので、I=私=自分を指す普段のモードでいないとまぎらわしいのでしょうね。ふむふむ…。そうだ、あれを作ってみよう。

別の展示会ではええっ、と思うこともありました。ドイツのとある企業は日本の通訳エージェントでドイツ語の通訳を手配していました。よし、通訳してもらう側の気分を味わってみようと通訳をお願いすると…楚々としたその女性は控えめに「私、この分野は専門ではないもので…」

専門分野を勉強していないと言うのです。準備が不十分かもしれない、ではなく準備していない、と言うのです。

だめだこりゃ。

依頼主の仕事に敬意と愛着、応援したい気持ちを抱いていれば、その専門分野を勉強せずにいられないと思うんですけどね。

仕事は他者のため、誰かを喜ばせるため。通訳者が学ぶのも他者のため。

いつか、おお、この人はすごい、弟子入りしたい、と思える通訳さんに出会いたいものです。

通訳道場★横浜CATS 第5期は5月から

 

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