あなたの翻訳を磨く本当の辞書は…?

正しく、美しく、読みやすい翻訳をしたいのに。
手間を惜しまず辞書を引いているのに。
なぜか自分の訳文が腑に落ちない、っていう時はありませんか?

そう、その感覚は素晴らしい。

そう感じることができるのは自分の読書経験全体と
今作った訳文を比べているからです。

辞書的に字面を作って、英文和訳として〇をもらえればいいや、
と思っていたらそんなこと気にもならない。

せっかく気になったのだから、徹底的に気にしましょう。

私も今、大切な友人のストーリーテリングCDを預かって
訳詞づくりに夢中です。
その物語は北欧の2つの古いお話を撚り合わせて
1つの新しい物語に蘇らせたもの。

イギリスでもマスター・ストーリーテラーと呼ばれる
ニックの語りもさすが生き生きとしています。
ニックの語りにふさわしい訳にしたい。

でも王子、馬、指輪、乙女、トロール…
普段お目にかからない方々ばかり…

馬に乗って、階段を登って、扉を閉じて…

間違いではないけれど、これでは動詞が平板。
物語の薫りを保つ決め手は動詞。
ありふれた動詞では物語の画素数が減って、
絵が荒れてしまう。

ええと、何をたよりにしよう…

ああ、「平家物語」。

じっくり読みたいところですがそれはまた後で。
こんなとき、昔習った速読法が役に立つのです。
(決して好きではありませんが)

さーっとスキャンすると、あっ、これこれ。
ちょっと怖いところですが…

「…太刀、長刀のさきにつらぬき、たかくさしあげ、夕に及ンで…」
(若宮出家より)

「(たかく)さしあげ」がここになじむかしら…
he took it from his pocket and held it up for them to see

1つ探せば1つ見つかるものではありません。
探しても見つからないこともあるし、
ぼうっと読んでたまたま覚えていた
一言がなじむこともある。

そういうもんです。

あなたの読書体験があなたの辞書。
あなたの日本語の土台を作った作品は何?
作家は誰?
必ずあるはずです。
まさかお母さんだけじゃありません。

自分の訳文が気に入らないときに戻るところを
いくつか意識しておくといいですよ。

こんな読み方、平家物語にはなんだか申し訳ないので、
いつか琵琶法師の語りを
拝聴したいと思っています。

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