翻訳を磨くのは英和辞典じゃなくて…
みなさん辞書お持ちですか?電子?紙?
あ、電子派が多そうですね。
もしかして家庭の医学やビジネス法律関係の資料も入っている…?
でも、これは入っていないでしょう。
久々に紙の辞書を買って大満足です。
三省堂の「現代語古語類語辞典」。
通訳道場メンバーの悦子さんが教えてくれました。
いいもの見つけましたね~!!ありがとうございます。
私もこういうものをいつも探しているんです。
なぜって…皆さん、私の通訳の日本語表現に驚いて下さる。
振り返れば、その根は中高時代なんです。 文系、理系なんてケチなこと考えずに何でも学んだ。 自然科学、社会科学の日本語に触れ続けた。毎朝歌う讃美歌は文語。
そんな体験を、損なうことなく別の形で通訳を学ぼうという大人の方たちと分かち合いたい。なぜなら、出会った人たちの中にすでにある賢さ、宝が喜ぶはずだから。
(こういうもんだから覚えろ、みたいなことを我慢してると子どもの頃はいきいきしていた知性が昏睡、機能不全になるのです。)
この辞書は現代語が見出しになっていて、その見出し語の表現を上代から辿っています。日本語版超プチOEDのよう。 北欧の2つの昔話をハイブリッドにしたストーリーテリングの訳にも助かりました。
たとえば王子が馬で冒険の旅を始めて…
The prince rode for a long time, he rode for a longer time.
「王子は長い時間馬に乗った。彼はさらに長い時間乗った。」
学校の英文和訳ではこんなもんでもよしとすることがありますが、ダメですね。単語を単語に置き換えただけでなんの情景も見えません。
情景が見えない、というのは原文にあった文体のカテゴリが、日本語では失われたということです。
王子と馬が登場する情景を描くにはそれにふさわしいカテゴリの日本語が必要。
さて、程度を表すとき英語は時間(例 longer time)、日本語は空間(例「はるばる」)で表すことがままあります。あらいぐまラスカルの歌でも「ロックリバーへ遠乗りしよう」というフレーズがあります。でも、できれば「時間」で表したい。遠乗りじゃなくて「長乗り」、聞いたことあるけど、ほんとにあるかしら。
「馬」でひいてみると…ありました! さて、実際のストーリー訳がどうなっているかは近日発売CDブックをお楽しみに。