私の通訳、原点はあの楽器…
「通訳って大変そう。しっかり練習しなきゃ!」
修行には賛成。
でもまったく新しいことばかりしなくてはならないわけではありません。
訳の練習さえしていれば大丈夫というものでもありません。
今まで、あなたが大切にしてきたこともあなたの修行の土台になる。
諸事情(?)により無謀にも私がヴァイオリンを手にしたのは中3のとき。稽古代わりというカン違いで入団した学校のオケで、私は第2ヴァイオリンに夢中になりました。
第1ヴァイオリンは確かに聞き覚えのある、弾き映えのするメロディーを奏でます。
でも、第1だけが弾いても物足りない。なんだか色が足りない。塩を入れずに焼いたパンのようになってしまう。
第2が入ると一気に響きが変わるのです。
でも第2の旋律だけ聴き取ろうとしても聴き取れない。姿は見えないのに、居ると居ないでは大違い。
これ、かっこいい!
けれど…オーケストラが私の職場になるはずはなく…(笑)
先日、とある弦楽合奏のコンサートを聴きにいきました。
あ、これは…!!客席から眺めた第2ヴァイオリンの佇まいに息を呑みました…その姿はセミナー通訳者そのもの。聴衆、オケすべてが見えて、聞こえていて…喜んで確かな支えに徹していて…。
セミナー通訳をしている私の中に、第2ヴァイオリン奏者は息づいていたのです。
あなたもゼロから通訳修行を始めるわけではありません。
ここにたどり着く前に、必ず種まきをしている。表面的には「時間の無駄遣い」「見込みのない憧れ」と映ったかもしれないけれど。
あなたはどんな種をまいてきたのでしょう?
芽が出てから「あっ!そういえば」と驚くのも楽しみですね。実るまで、ご一緒しましょう。