英文科卒が英語関係の就職にこだわるより大事なこと

「英文科卒業するので、TOEICもっとがんばって、やっぱり英語関係の仕事かな、と思うんですけど」

何年か前のこと。なんとなく就職の話になった3年生のRさん。にこにこしているけどどこか無理している感じ。ふと眼差しが陰りました。

―それ、あなたの心の声?
「やっぱり英文科だし。」
―あなたの声か、誰かを気にしてるのか訊いてるの。
「え…」
―お家のかた?
「あ…」
―そう期待されてるの?
「いえ、そんなことはないです。でも私立に通わせてもらって英文科出るのに英語を活かした仕事じゃないと、学費が無駄になっちゃうというか、恩返しできないというか…申し訳なくて。」
―そう言われたわけじゃないんでしょ。
「はい。」
―お家の方はあなたがそう思っていることをご存知?
「いいえ、たぶん知りません。」

おいおい。

 

私があなたのお母さんだったら何を願うかな?
仕事の世界ではあなたはまだ赤ちゃん。でもどんどん自分の手を離れていく…。 

幸せでいてくれますように。

つまり…
夜はぐっすり眠れますように。
ごはんをおいしく食べられますように。
ご一緒させていただく方々とお互いを大切にできますように。

私という避難所を覚えていてくれますように。

他に何がある? 

確かにお母さん世代は時代遅れなこと、細かいことも言うかも。大企業がいいとか、給料はいくらとか、保険や年金とか(病気になるために生きてるのかね)。そりゃそうだ、心配だもの。 でもそれは表面的なこと。

心の奥ではあなたの幸せを一番に願っているはず。

そうでなけりゃそれはそのとき(!)。本気で愚痴りにいらっしゃい。

英文科どうのこうのは大したことじゃない。過去の足し算で今の自分を縛らないで。それじゃ未来がいびつになる。 

まあ、ほんとに社内通訳・翻訳レベルのスペシャリストとして就職したくてしょうがないなら話は別。まだまだインプットが圧倒的に足りないし、あなたは余力がある。TOEICの針なんか振り切って。

じゃ、その折は虎の穴で。

 

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