医療通訳は難しい?
ひょんなご縁でお引き受けした医療通訳のオンライン講座。無事初回がおわりました。2時間みっちりの講座は日本語から英語への通訳も含んでいます。
みなさん、とても真剣にがんばっています。揃って言うのは…「やっぱり用語が難しいです」
ん?それってどういうこと?
ものごとは細かく分けて見ることが大切。
難しいのは医療関係の英語か、日本語か?
それとも用語を覚えるのが大変なのか、用語からイメージがわかないのか?
どれもyes!かもしれませんが、重荷になっているのはそれぞれ後者では?
医療関係の堅い日本語からイメージがわかない。だから結果的に覚えづらい。(医療関係の英語は日常の英語とそれほどかわりません。)
医師の方たちならば、明瞭な専門用語のほうが現場とも結びついていてイメージもわく。 けれど、現場を知りようのない通訳者が英単語-日本語を対照して暗記しようとしても大変。
ここで「語学系の通訳者なもので…」と勝手に限界を決めてはいけません。通訳者が語学村の住人で事足りたのは前世紀の話。
あわてなければ大丈夫です。日々少しずつ積み重ねれば大丈夫です。
何を?
2つおすすめします。
1つめは、通訳者ならではのポイント。語源を調べましょう。
たとえば、肝臓-liver, hepaticなどと覚えるでしょう。じゃあ、肝臓ってどういう意味ですか?月(にくづき)+干(幹、の意)で、命の「幹」という意味があるそうです。カラダという樹を支える大きな幹が思い浮かびますか?あなたが思い浮かべた樹はどんな樹?欅?杉?
それが英語ではliver。これのもとが昔のドイツ語のleberだそうで。よほど「レバー」に近いですね。これがleben=生きる、に由来するそう。
洋の東西を超えて、肝臓を命の要と感じていたのですね。
ちなみに、酔っぱらいがお世話になる「ヘパリーゼ」でおなじみのhepat-はギリシャ語の肝臓の意。ギリシャ人が肝臓をどう理解していたかは諸説あり、しばらくお待ちくださいませ。
世の中は超高速で変化していますが、私たちの身体はそれほど変わっていません。なので、その名前には昔の人たちの見方、思いが結晶となって込められています。
どうか、一対一の単語つめこみ暗記で終らず、その奥深くの昔からの景色をお楽しみください。
2つめは、ひとつの全体としての身体のしくみを知ること。消化器系、神経系とバラバラに覚えないこと。そのためにおすすめなのがこちら、Functional Morphology. それぞれの臓器、系が現在の形となるまでの壮大な歴史を旅することができます。面白いから、感動して思わず覚えてしまいます。
日々、少しずつ楽しんで積み重ねてください。