仏像を英語で案内するなら
講座の通訳をしていると、あいまに休日の観光案内もご一緒することがあります。
先日も京都にご一緒させていただきました。さすが、京都のお寺はインバウンドの方たちでにぎわっています。タクシーで移動中、アメリカからの講師の先生から訊かれました。
「そういえば、講座が始まる前の日、京都駅の近くを観光したんだけれど…ええと、あれはどこだったかしら。すごく変わってて、おんなじような小さい仏像がずらーっと並んでるところ。普通違うわよね。」
ああ、それは三十三間堂。ずらーっと並んでいたのは千手観音Sahasrabhuja。「普通の」とおっしゃるのは、 ボスが真ん中にいて、左右に2体サポーターがいて、さらにその周りに警備員…のような、でしょう?それは 三尊形式(中尊と脇侍二尊から成る)というそうですよ。
そう。通訳者にとって医学に引けをとらず勉強しがいがあるのが仏教です。事前準備が必須です。
お寺に行ってその場で説明を英訳すればいいや、最近は説明も英語になってるし、なんて慢心はいけません。薬師如来はMedicine Buddhaあたりでごまかせたとしても、阿弥陀如来はどうします?阿弥陀って何?!如来と菩薩の違いは?持国天の天はheavenでいい?(良いわけない!)
その場であわてるのはもったいないです。
仏教の言葉は奥深くて、サンスクリット語、ヒンズー教、中国語、日本仏教がミルフィーユのように重なっています。あまりに面白くて通訳の準備だったことなど忘れるくらいです。そう、そんなこと忘れて没頭したほうがよいのです。
本当にきりがありませんから、今回は高校生の修学旅行にもおすすめの「これだけは」の分だけをご紹介します。アクサン記号がうまく出なくてちょっと困りました。長母音は母音字のあとに「-」をつけました。
- 仏像の4種類(部)
- 如来 tatha-gata
- 菩薩 bodhisattva
- 明王 vidyaraja
- 天 deva
- それぞれの部のメンバー
- 如来
- 釈迦如来 Sha-kyamuni / Buddha
- 薬師如来 Bhaisajyaguru / Medicine Buddha
- 阿弥陀如来 Amita-bha / Buddha of Infinite Light
- 大日如来 Maha-vairocana
- 菩薩
- 弥勒菩薩 Maitreya
- 聖観音菩薩 A-rya-valokitesvara
- 十一面観音菩薩 Eka-dasamukha
- 千手観音菩薩 Sahasrabhuja
- 文殊菩薩 Manjusri-
- 普賢菩薩 Samantabhadra
- 地蔵菩薩 Ksitigarbha
- 明王
- 不動明王 Acalana-tha
- 五大明王
- 降三世明王 Trilokavijaya
- 軍荼利明王 Kundali-
- 大威徳明王 Yama-ntaka
- 金剛夜叉明王 Vajrayaksa
- 愛染明王 Ra-gara-ja
- 天
- 梵天 Brahna-
- 帝釈天 Indra
- 持国天 Dhrtara-stra
- 増長天 Viru-dhaka
- 広目天 Viru-pa-ksa
- 多聞天 Vaisravana
- 如来
こちらの本、おすすめです。「仏像バイリンガルガイド」バイリンガルで、コンパクトなのに内容も充実していてイラストも綺麗。おみやげにプレゼントしても喜ばれます。
お寺にも花のあふれるこの季節。よい週末をお過ごしください。
通訳道場★横浜CATS 第5期