通訳準備、専門用語と同じくらい大切なのは
持続可能な未来のための通訳者、冠木友紀子です。
最近、おや?と思うことがありました。
私が主催する通訳道場の朝稽古でのことです。ある道場生が自分の専門分野の最新動向についてのプレゼン動画を稽古に提供してくれました。ほかの参加者は私を含め門外漢です。
この方は懇切丁寧に説明しようとしながら、「イメージわきます…?」と不安そう。
「やっぱり難しいです」という答えを期待されていたのかもしれませんが…
私は「イメージわきまくりです。」
だって、その動向は世の中のトレンドの一部。他分野の動向と共鳴しないはずがない。孤立していたら滅ぶはず。日常生活にも容易に比喩が見つかります。
「専門家でないとわからないのでは」と思い込むと、自分の言葉が干上がります。
自分の分野で起きていることが、よその専門分野でも起きていないか、という目できょろきょろすれば、自分たちのことを他者の言葉で語ることもできるでしょう。それは豊かなことだと思います。
そんなこと言われたって具体的にどうすれば?
まずはユヴァル・ノア・ハラリさんの「サピエンス全史」やデービッド・クリスチアンさんの「ビッグ・ヒストリー・プロジェクト」などで「人類史」の視点に慣れることです。
通訳の準備といえば「専門用語」を想いますが…それは点に過ぎません。
点と点をつなぐ思考の線、ビジョンの面を捉え、専門家の頭の中にある景色がだいたい見えるようになること。その専門家の頭の中の景色を「人類史」を背景に捉えること。人類史をふだんから気にすること。
通訳の適性としては、こうした歴史や社会の動向への関心ほうが海外生活の有無や外国語運用力よりよほど大事です。
英語ができるので通訳を頼まれてしまう方たちのために小冊子作りました。こちらからどうぞ。
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