私がシュタイナー関係の通訳をするようになったのは

シュタイナー関係の通訳を手がけるようになって14年が経ちました。英語を聞いた瞬間に、鮮やかなイメージと共に心の底から感動と喜びが湧きあがり、日本語を語りながら身震いし、聞いて下さる皆さんの眼差しに感動する…そんな瞬間が数えきれないほどありました。本当に通訳冥利につきる、ありがたい思い出です。

そもそも…シュタイナーとつけばどんな講座でも駆け付けていた17-14年前、ある塾(バレバレ?)の研修にまぜてもらったのが始まりです。

オーストラリア出身のシュタイナー学校教員を通訳していたのはアメリカのシュタイナー学校に通ったことがある日本人男性。「英語が分かる」「その分野の経験がある」とはいうけれど、とても苦しそう。四角いものが丸くなるような日本語でした。

彼を否定したいわけではない。でもせっかくの海外講師のワークショップがこのままでは。なんのための渡航時間?渡航費?宿泊費?

さいわい、扱っていた理科の実験は中1~2のころ学校で楽しんだものばかり。糖に硫酸をかけたり、生石灰に水をかけたり…燃焼や炭素輪廻がテーマでした。おそるおそる補助のコメントをしたものです。

「君がコメントするとくもりガラスが晴れるみたいにすっきりする。もっとやって!一体、君は何者?え、卒業生?プロの通訳者?うちに来て!」

次の回から私が通訳するようになりました。

そして驚くべき自由を与えられました。この会社に籍をおいたまま、有休などの手続きはなしで、あちこちでシュタイナー関係の通訳をするように、というのです。

「シュタイナー関係は『わかっている』『留学したことがある』身内の『英語、ドイツ語ができる人』が通訳をすることが多い。でもまずいことが多すぎる。学びの質の最後の決め手は通訳だ。きっとプロの謝礼は出ないだろう。でも、まずい通訳を多くの人が受け取るのは残念。ここの仕事と思って出かけてきたら。」

すごいチャンスがあるものです。喜んでいろんなところにお邪魔しました。

そして気づいたのです。

お金がない、というサークルはもっとお金が無くなる悪循環にはまっているのだと。

イベントのタイトルが独り言。対象者がぼけている(ラブレターの宛名が無い)。参加費が安すぎる。学びのイメージがぼけているので定員もない。チラシも独り言。商品スペック説明ばかり。実は大量消費時代ぽい文言。そして告知が遅い。

これじゃ人は集まらない。

趣味の同好会を卒業して社会貢献を願う団体ならなんとかしなくては。私がアマチュアボランティアみたいな謝礼を受け取り、給料で補填してもらっていてはだめ。かくいう私も昔はお金関係は得意ではありませんでした。他人ごとではなかったのです。

やがて双申さんの経営シミュレーション「トータルゲーム」やマーケティングのY’s Clubに出会いました。

なかなかプロフェッショナリズムが理解されない日本のシュタイナー関係。でもつぶれてはどうしょもない。武士でもないのに高楊枝はいけません。

まもなく、健全経営を願うシュタイナー関係のみなさんのためにちょっと面白い本を出します。乞うご注目。

冠木友紀子プロフィール

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