「自分の分野なので要約で通訳していたけれど、実は…」

「自分の専門分野なので要約で通訳していました。
でも、本当はそういうことじゃなかったんですね。」
ん?
「キーワードはちゃんと聴き取れていたんですけど
全部は聞こえていなかったんです。聞こえた重要キーワードの
間を自分の経験と知識でなんとかつないでいました。」
それはヒヤヒヤしたでしょう。
でも気が付いてよかった。
話し手の頭の中の景色を聴き手の頭の中で再現するのが通訳
要約って全部聞こえて、聴き取ってから要点を選ぶこと。通訳とは別。通訳よりよほど大変。
ましてや、聞こえたところだけを端折ってつなぐことなどではありません。
ぜんぶ聴き取れて、ぜんぶ訳すほうがよほど楽ですよ。
すべては、すべて聴き取ることから始まります。
通訳は話し手の頭の中の景色を聴き手の頭の中に再現する。
勝手に画素数を変えたり、山並みを山ひとつにしたり、
小川を大河にしたりしてはいけません。
たとえばオバマさんの広島演説。
Seventy-one years ago, on a bright cloudless morning, death fell from the sky and the world was changed. A flash of light and a wall of fire destroyed a city and demonstrated that mankind possessed the means to destroy itself.
2文目を「閃光が広がり、この町は燃え、破壊されました。」としているのを見かけました。
いつ閃光が「広がって」「a wall of fire」はどこへ行ってしまったのでしょう。
「一瞬の閃光と壁なす炎がひとつの町を破壊し…」と素直にやればよろしい。
(この演説に関しては全文カノン同通アップしたい!)
ところで日英ウィスパリングはどう?内容は要約なのに時間はかかっているでしょう。
ここで日英ウィスパリングの練習量だけを増やすのはお利口ではありません。
アウトプットだけをいじってアウトプットを改善するのは大変。インプットはやはり「1語残らず聴き取れること、予測できること」。
今、あなたの耳をすりぬけてしまっている言葉たちをちゃんと捉えられるようになったら、英日逐次も日英ウィスパリングもおのずと楽になりますよ。

まずはあなたの尊敬する大好きな人の声で耳を満たしましょう。

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