オバマ大統領広島演説②-同時通訳はイメージの順を最大限守る

今日はシンプルです。

日本語と英語は語順が違うと言う人がいます。さあね。
「I love you」と「私はあなたを愛しています」は順番が違うというのです。

では伺います。「私はあなたを愛しています」と言われたことはありますか?いやいや、愛されたことがある、なしを訊いているのではありませんよ。生き生きした告白はそんな表現ではなかったでしょう?

人は思い浮かんだ順に言葉にすると私は感じています。先に思い浮かんだことを後回しにして、後で思い浮かんだことを先に言うのはずいぶん手の込んだ無理だと思います。

多くの文がクイズ番組の構造をしているとも思います。

ためしてガッテンを思い出してください。①「はい、テーマです!」②「ではここで問題です」(ゲスト回答)③「正解は…」(解説+ガッテン!ガッテン!)小野アナと志の輔師匠の声が聞こえるようです。

I(俺のことなんだけどさ)
love(愛してる人がいるんだ・「え、だれだれ?」)
you(君なんだ!)

「俺、好きなんだ、お前が」

ほら、クイズ構造になってるでしょ。話し言葉はクイズ構造に近いでしょ。

クイズ構造を意識すると、無駄な前後入れ替えをせずにすみます。同時通訳も楽になります。聞いたまま言えばいいだけですから。

さて、今日の分、同通お先にどうぞ。

そして大手メディアに共通する残念な点。

It is not the fact of war that sets Hiroshima apart. Artifacts tell us that violent conflict appeared with the very first man.  Our early ancestors, having learned to make ①blades from flint and spears from wood, used these tools not just for hunting, but against their own kind.  On every continent, the history of civilization is filled with war, whether driven by scarcity of grain or hunger for gold; compelled by nationalist fervor or religious zeal.  Empires have risen and fallen. Peoples have been subjugated and liberated.  And at each juncture, ②innocents have suffered★, a countless toll, their names forgotten by time. 

①「フリントから刃を、木から槍を」→「刃を火打石から、槍を木から」
ひっくりかえす手間をかける理由はありません。フリントはちゃんと訳しましょう。

②「罪なき人たちが無数の犠牲者を、その名が忘れ去られることを苦しんだのです。」→「無辜の民が苦しみました。無数の犠牲、その名は時と共に忘れられました。」
これは大手メディアのものですが…★のカンマが抜けている版を元にしたようです。ホワイトハウス版ではありませんね。これは大統領とスピーチライター集団の作品です。ホワイトハウスが公表したテキストに準拠しましょう。ホワイトハウスのものはカンマが入っています。

通訳道場★横浜CATSはこんなところ

 

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