掟は破れるけれど
北アイルランドでのG8。
安倍首相はアベノミクスについて各国に熱心に説明したそうで。
アベノミクス、と聞けば多くの日本人はアベ+エコノミクス、安倍さんの経済政策、と思うことでしょう。
新聞にも「安倍政権の経済政策、いわゆるアベノミクス」とありました。
私は、どういうわけか「コ」が抜けたのが気になるのです。
アベコノミクスでは長すぎるのでしょうが、このごろの政権の様子を見ていると偶然とは思えず…
Abenomicsは、abe + nomicsのふたつの部分に分かれます。
abeは言わずもがな、安倍さん。 nomicsはギリシャ語でノモス、掟、法を指します。
あら、経済はどこへ行ったのでしょう?
そもそも経済、economyはeco+nomy。
ecoはギリシャ語のオイコス「家」、nomyはこれまたノモス「法」に由来します。
家計簿に向かってそろばんをはじいている昭和のお母さんみたいですが、家の意味にもいろいろあります。
人類という大きな家族のすみか、つまり世界、という大きな家を思い浮かべてもよいでしょう。
ところで、このecoはエコのエコです。「それってエコだね。」は「それって家だね。」という意味。ギリシャ人には「?」です。
このエコはecology=eco+logyの略。
オイコス「家」+ロゴス「理」から成り立っています。
さて、ノモスとロゴスはどう違うのでしょう。
ノモスは人が定めた、人が変えられる統治の仕組み。
autonomy=自治にもノモスが入っています。
ロゴスは人と関係なく宇宙、天にそなわる、人には変えられない仕組み。
biology, geology, philologyなど天地の理を探求する学問名によく登場しますね。
エコノミクスをノモスに敷衍し、ロゴスまで変えようとする。
そんなことはできない、してはならないと思い知ったばかりではありませんか。
そんな人間には冥界の門が大きく開くことでしょう。
そこで待っている冥府の長はその名をギリシャではハデース、
ローマではプルートーといいます。