勉強はじっと座ってするもの?ー英語はウロウロ大歓迎!
授業中静かに座って居られないと、すぐに「あの子、変じゃない?」「先生、指導力大丈夫?」という声が上がるようになりました。でも、そんなにじっとしていないと学べないものでしょうか?
優位感覚ってなに?
新しい情報や経験はいきなりアタマの中に入りません。まずカラダに備わったさまざまな感覚という窓を通り抜けるのです。よく知られた5つの感覚のなかでも、学びに大きく関わるのが視覚・聴覚・体感覚(触覚と運動感覚)と言われます。(授業中早弁をすると嗅覚と味覚が忙しいでしょうね!)
これら3つの感覚を私たちは三角シーソーのように刻々と切り替えながら使っています。ただ、3つを均等に使うのではないようです。たいていの人は、お気に入りの長居しがちな感覚がひとつ、ときにはふたつあるものです。その感覚から新しい情報が入りやすいからなのですね。これを学習優位感覚と呼びます。目で見るとよく覚えられるなら視覚優位、耳で聴くとよくわかるなら聴覚優位、というわけです。
この仕組みを利用して人の気持ちを動かそう、という動きもありますが、私は違和感を覚えます。自分らしい感覚バランスが育つまでの仕組みを(運動と感覚の発達。原始反射をベンチマークに)学ぶと、芸術的な精密機械のような人体のしくみに驚くばかりです。このように人間を成り立たせた力に畏敬の念を抱きます。
この素晴らしい仕組みを活かすのに教室以上にふさわしい場があるでしょうか。鍵を握るのは先生です。
さて、このごろの教室で損をしやすいタイプは…?
学校の先生には視覚優位、聴覚優位の方が多いと言われます。たしかに字がきれい、声がいい方が多いですね。でも、ひとはついつい自分の方法をひとにも求めがち。体感覚優位、つまり動いたり触ったりするとよく学べる子どもたちが本領発揮できる活動をふくむ授業になるよう工夫したいものです。
英語はウロウロして学ぶ!
私たちは心拍と呼吸のリズムに乗せて言葉をかたります。そんなこと意識しないほど、日本語ならば自然にやってのけていることでしょう。ところが、外国語となるとそうはいきません。英語は外国語だからこそ、身体にそなわるリズムを強調して学ぶとよいのです。一番有効なのは歩くこと。教科書を読むにも、覚えた詩を唱えるにも、歩いてみてください。自然にリズムがついてくるでしょう?
いま、ネットの時代に学校で学ぶ意味
たとえリズムがよくなっても、ひとりでウロウロ、ぶつぶつはさみしいもの。でも、仲間がいれば、和になってメイポールダンスのような美しい形を描いて楽しむこともできます。これはネットではできないでしょう?だから仲間と学べる学校は素晴らしいんです。みんなが黒板に向かって机を並べ、心拍も呼吸もきわめて安静…なんてもったいない!
さて、このリズムが頓珍漢のあてずっぽうではかえって気持ち悪いもの。リズムも自然で言いやすく聴きやすい英語にするには、実は文法の知識がとても役に立つのです。このあたりは次回のおたのしみ。
一見、私の授業は楽しく遊んでいる…英会話学校みたい…と思われますが、根底にある理由は全く違います。学びの科学と、からだの音楽、文法の数学をキーワードに、現場でがんばる先生を応援しています。
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